2023.03.21
物価高と中小企業の賃上げ
中小企業にも賃上げの波が押し寄せています。
アンケートで賃上げをすると答えた企業は8割、昇給率は3%~5%が最多のようです。
あまりニュースには出ていませんが、年金の支給額も約2%上がります。
基本給を上昇させると残業手当や社会保険の等級も当然上がります。
残業手当の基礎に含まなくていい手当は、
1 家族手当
2 通勤手当
3 別居手当
4 子女教育手当
5 住宅手当
6 臨時に支払われた賃金
7 一か月を超える期間ごとに支払わる賃金
となり、物価高騰対策手当とか銘打っても残業の基礎に含まなくてはなりません。
賃金上昇が会社負担に及ぼす影響として一つの指標となるのが労働保険を計算するたの
概算保険料申告書です。
基本給が5%増えると年収が約5%増加します。(上記手当を考慮せず)
つまり確定保険料(退職者がいない場合)に5%かけて保険の会社負担分(約15%)をたした金額が会社負担分になるわけで、売り上げや経費が同じだとすると、営業利益からその分が削られる計算になります。
売上や経費は変動するので、あくまでも目安にしかすぎませんが・・・。
2023.03.20
育児休業給付を受け取るために被保険者期間が不足していた時のお話
育児休業給付は1歳に満たない子供を養育するために支給されます。その支給要件は、
・雇用保険の被保険者であること
・休業前の2年間の間に賃金支払基礎日数11日の月が12カ月以上(被保険者期間)あること
以上のような要件が必要となっています。
顧問先の従業員の方は産前休業までにタイムカードを何回数えても2カ月間被保険者期間が足りませんでした。そこで、顧問先に提案したのが
・産前休業中に少し働いてもらう
・産後休業終了後1カ月(11日以上)働いてもらう
それで2カ月間被保険者期間を稼いて頂くというものになります。
産前休業中(出産予定日6週間前)は絶対的に労働禁止期間ではありません。あくまでも、出産予定の女性が休業を申請した時にはその者を就業させてはならない期間に過ぎないので、労働者と使用者に説明して双方の合意のもと体調を見ながら働いて頂きました。(これで1カ月稼ぎます)
次に産後休業終了後に少し働いてもらいます。産後休業中は絶対的労働禁止期間(産後6週間)ですので、その間は労働するわけにはいきません。
ですので、絶対的労働禁止期間の制約が解けたのちに、双方の合意のもと1カ月働いてもらって合計2カ月被保険者期間を満たすことにしました。
ここで疑問に思われるのは
「産後休業終了後働いても育児休業がとれるの?」
といった点だと思います。雇用保険法では、
・一歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること
と書いています。
よって産後休業終了後の被保険者と書いていないのでOKとなります。
ここで注意したい点は育児休業中は社会保険料は免除になりますが、産後休業後1カ月間働いているので社会保険は1ヵ月分支払わなくてはなりません。社会保険の加入者だったため出産手当金申請時に産前中に働いた期間は出産手当金は削られてしまいます。
しかし、何とか育児休業給付の支給申請をすることが出来ました。
2023.03.20
役員報酬が0円になった時のお話
たまに、
「代表取締役の役員報酬を0円にした場合に社会保険はどうなるのか?」
という質問を受けます。
結論から申し上げますと、社会保険の加入から外れます。社会保険の概念から、
「会社から給与を受け取っている人が加入資格がある」
という概念があるらしく、役員報酬0円は給与が発生していないので、加入資格を満たさないそうです。
では、
「代表取締役の役員報酬を5万円にした時に配偶者の扶養に入れるのか?」
という質問もたまに受けます。
年金事務所の回答では、
「代表取締役は会社の経営に深く関わっているので、役員報酬を少しでも貰っているなら、個人で社会保険の加入義務が発生する。」
との回答を受けました。
これは、会社経営にどれだけ深く関わっているかで判断するらしく、一概に監査役だからOKとか取締役だからNGとかではないみたいです。
役員の取り扱いに関しては日本年金機構は、個々の年金事務所の判断に委ねているらしく、年金加入者ダイヤルで役員に関して質問しても担当エリアの年金事務所の担当に電話して下さいと言われます。
該当する方は一度担当エリアの年金事務所に確認してもいいかもしれません。
2023.03.19
パートタイム労働者の被用者保険拡大
岸田総理が最低賃金の上昇や被用者保険を拡大し、130万円の壁の是正を図ると発表して物議を醸しています。そもそも、時給1000円の労働者を社会保険に加入させた場合には社会保険の会社負担分が発生するので、ざっくり計算して時給1150円を人件費として計上しなくてはなりません。
その仕事がそれだけの価値を生み出す仕事ならいいのですが、時給1150円まで払ってそれ以下の価値しか生み出さない仕事の場合には、会社の損失にしかなりませんし、労働者も社会保険の負担分が発生し手取りが減ってしまいます。
考えられる流れとしては、今まで週30時間で社会保険の加入義務が発生する会社があるとします。その会社が週20時間で加入義務となった場合には、労働時間を抑えてもらってパートの数を雇うといった流れになると思います。
労働者側も社会保険の負担が発生するくらいなら、1つの会社で長時間働くよりも2つの会社で短時間働いた方が得ということになり、ダブルワークが増えるのでないかと考えています。
週20時間労働で社会保険の加入義務が発生するAとBという会社があったとします。それぞれの会社で週15時間づつ働いた場合には労働時間の合計は週30時間になりますが、社会保険の加入要件を満たしていないので、社会保険には加入しなくていいことになっています。(ABの合計年収で130万円の壁は守らなくてはなりませんが・・・)
社会保険料を取りたい政府と取られたくない労働者とのイタチごっこはまだまだ続きそうです。
2022.02.27
助成金と給与計算
助成金と給与計算は切っても切れない関係です。
助成金の担当者は正しく給与計算されているか申請対象月すべてチェックします。
残業手当や休日出勤手当がついているか、雇用保険の保険料は正しく計算されているかなどを
確認していきます。
正しい労務管理が実施されている会社でなければ助成金は申請できないと考えてよいでしょう。